みなさんこんにちは。そして、明けましておめでとうございます!
おとなとこどもの経堂歯科です😊
年末年始はゆっくりと過ごすことができましたでしょうか。
昨日の東京の最高気温は3度で、19年ぶりの寒さだったそうです。
暖かくして、風邪をひかないように気を付けてくださいね。
また、積雪と昨日の寒さの影響で道もツルツルなので滑らないようにお気をつけください!
さて、今日は妊婦さんの口腔内についてお話させて頂きます。
🌼妊婦の口腔内の変化
妊娠初期には、つわりによる体調不良などのため、生活習慣や食習慣が乱れがちになります。
さらに、嘔気のために口腔清掃が十分に行えずプラークが沈着して口腔内環境が悪化することが多くあります。
したがって、妊婦期はう蝕や歯周病が悪化するリスクが非常に高まります。
『歯周病』
歯周病は歯周病原性細菌によって引き起こされる感染症であり、歯周組織への炎症の広がりにより、歯肉炎と歯周炎に分類されます。
初期段階の歯肉炎では、歯肉の発赤、腫張、歯肉からの出血などの症状があり、歯肉炎がさらに進行し、歯槽骨にまで及ぶと骨吸収を伴った歯周炎となります。
妊娠時の歯肉炎(妊娠性歯肉炎)は妊婦の約半数以上に認められ、妊婦が著しい歯周炎の場合は早産や低体重児出産となるリスクが高まることが報告されています。
『う蝕』
初期う蝕の場合は、唾液中のカルシウムによる再石灰化によってう蝕の修復が期待できます。
ただし、妊娠中はつわりによる口腔内環境の悪化や間食の増加なども重なり、初期う蝕が実質欠損をともなったう窩に進行してしまう危険性が高まります。
初期う蝕は痛みなどの自覚症状が生じないため気づかないままとなることが多いようです。
さらに、う蝕が進行して冷水痛などが生じても妊娠中は治療に対する不安から、歯科受診を避け、長期に放置されてしまう場合も多くみられます。
う蝕が歯髄炎にまで進行し、激しい自発痛が生じた場合は、妊娠中となると治療に困難を伴う場合もあるため、早期に歯科検診を受け、覆髄など歯髄保護のため適切な処置を受けることが望ましいでしょう。
『酸蝕症、知覚過敏』
つわりによる嘔吐は、通常妊娠初期に妊婦の70%が一般的に経験するものといわれています。
これは一時的なものであり、酸蝕症の主な危険因子になるとは考えられていません。
しかし、酸蝕により歯頚部など知覚過敏を生じやすくなります。
嘔吐に加え、つわりにより柑橘類、清涼飲料など酸蝕を引き起こす危険性の高い酸性食品の摂取頻度が増える場合にも注意が必要です。
『口臭』
妊娠時には歯肉炎の増悪とつわりによる口腔内環境の悪化に伴って、細菌由来の口臭が発生しやすくなります。また、頻回な嘔吐があると、胃の内容物、胃酸が逆流し口臭が生じる可能性が高くなります。
一方、つわりの治まる安定期以降でも、唾液分泌が低下して口腔内が粘りっぽくなると、違和感と共に口臭も増加します。
このように妊娠時の口腔内の状態は妊娠前とくらべて変化し、口臭が生じやすい環境となるため、常に清潔な状態に保つことが望ましいといえます。
🌼つわり時におけるブラッシングのコツ
・体調の良い時間帯に磨く。まずは無理をしない。
→つわりは起床時や食後、疲れのたまった夜などに辛くなることが多い。食後や就寝前の歯磨きは理想的で効果的ではあるが、まず無理せずに、吐き気が辛いときは避けて、体調のよいとき見つけて歯磨きをしてみる
・ながら磨きのすすめ
→テレビを見ながら、お風呂でリラックスしながらなど、つわりが軽い体調のよいときを利用してながら磨きをしてみる。
・歯ブラシは小さいものを使用する
→大きな歯ブラシでは奥歯を磨くときに喉に近い粘膜を刺激することがあるので、なるべく小さめの歯ブラシを使用してみる。歯ブラシのヘッドの部分がコンパクトなものや子供用の小さいものでもよい。
・奥から前に掻き出すように磨く
→喉に近い部分に歯ブラシが不意にいくと、とくに吐き気を催しやすい。まずは慎重に、なるべく奥歯に歯ブラシを当ててから、前方に掻き出すように磨いてみる
・顔を下に向けて磨く
→歯磨き中に喉に唾液が溜まると、その刺激で吐き気が催されることがある。下を向いて歯磨きをして、唾液が喉に流れないように工夫する。
・においの強い歯磨剤を大量に使わない。
→妊娠中はにおいに対して過敏となることが多い。歯磨剤の香料が強いものは、においを嗅ぐだけでも気持ちが悪くなることがある。できるだけにおいや刺激の少ない歯磨剤に代えるか、無理に歯磨剤を使用しなくてもよい。
・ぶくぶくうがいを十分に行う
→食後で吐き気がある場合は、無理に歯磨きができなくても水や洗口剤でぶくぶくうがいをして、口腔内をなるべく清潔にしておく。嘔吐した直後は水などでうがいを十分にして、口腔内の胃液などの残留を洗い流しておく。また、嘔吐した直後の歯磨きは歯の摩耗を引き起こし、酸蝕症となる危険があるため、約30分は歯磨きを控えるのが望ましい。
・砂糖不使用のガム(キシリトール)などを噛む
→ガムを噛むことができるならば、キシリトールなどを噛む。う蝕予防効果や唾液の分泌促進によって、う蝕原因菌の母子感染予防にも役立つ。
このように、妊娠中の口腔内やつわりにより口腔清掃が難しくなってしまった場合にも様々な対処法があります。
分からないことや困っていることがありましたら、お気軽に相談してくださいね。